福島県の県北地方は、全国でも有数のくだものの産地です。美味しいくだものを生産する原点は、この地域自慢の「気候と風土」。産地は盆地の山裾に位置し、その土壌は果樹に最適な山の土です。夏冬を通して適度な寒暖の差は、美味しい実のなる樹の成長を助けます。
また、盆地特有の盛夏の豊かな陽差し、高温と乾燥した空気、朝晩の温度差は果実の甘さを増やしてやみません。
初夏のサクランボ、夏の桃、秋のナシやブドウ、そして晩秋の蜜入りりんごなど、季節ごとに新鮮なくだものを楽しむことができます。
「ふくしまくだもの広場」は美味しい果実を育むのに必要な要素、すべてに恵まれたところなのです。
果樹栽培は病害虫との戦いの毎日です。美味しいくだものを育てるためには、害虫だけではなく細菌や真菌(カビ)あるいはウイルスといった病原微生物とも戦わなければなりません。そのためには、使い方や選択に充分注意しながらも、必要最小限の農薬を使う必要があります。その一方で、消費者の皆さんには少しでも 「安全なくだもの」を届けなければなりません。生物防除(バイオロジカルコントロール)としてフェロモンなどの生理活性物質の応用などで、農薬に依存し過ぎた農業は卒業しなければいけない、それは「ふくしまくだもの広場」の願いでもあります。
おいしいくだものづくりにはもうひとつ、和やかな気持ちも込めてつくっています。
リンゴやモモなどの赤い実、フルーツを適度に食べることがガンの予防によいというのは、いまでは広く知られています。
ところが、ガンとは一体どのような病気なのか、ひとはどうしてガンになるのかと言った基本的なことが、素人にはなかなか難しくてよくわからないものです。
そこで、「赤い実の熟する里」を訪ねてくれる皆さんのために、里の特別応援団員、筑波大学の加藤先生に特別寄稿をお願いました。先生は、ノーベル賞で有名なスウェーデンのカロリンスカ研究所、財団法人癌研究所、そして筑波大学で一貫してガン研究に取り組んでこられた、日本のガン研究の第一人者です。分子生物学など、最先端の話も交えて、楽しく判りやすく解説をしてくださいました。「赤い実の熟する里」ならではのサイエンスエッセイを楽しんでください。
フルーツが健康に良いということが改めて注目されるようになっています。An Apple A Day Keeps The Doctor Awayという西洋のことわざも、「一日一個のリンゴは医者いらず」などと訳されて広く知られるようになりました。米国ではこれをさらに進めて、More Color More Health (いろいろな色の野菜や果物を食べよう), The Five A Day (一日に5種類以上の果物と野菜を食べよう)をスローガンに、NCI(国立癌研究所)とCDC(疾病管理センター)という世界最大の研究機関が、ガン予防のキャンペーンをおこなっています。事実、このキャンペーンの効果によって、人口10万人あたりのガン発生率が減少に転じたと言われています。
最近またワインブームのようです。赤ワインに豊富に含まれるポリフェノールには抗酸化作用(体の中の成分が酸化されるのを防ぐ作用)があり、動脈硬化・高血圧・心臓病などさまざまの成人病の予防によいと言われています。このワインと健康ブームがきっかけになって、これまでは専門家の間でだけ使われていた活性酸素や抗酸化物質などという言葉もすっかり世間に知られるようになりました。